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建設途中にあるボンゴレの並盛地下アジト。 まだ殆ど形になっていないそれに隣接するように財団のアジトの建設も進められていた。 その中で先駆けて作られていた己の仮部屋に戻ると雲雀は重く溜息を吐く。 「あーあ。振られちゃったな」 誰にともなく呟いた言葉は誰も聞いていないからこそ子供っぽく。 そんな風に言いたくもなるようなこの心境。 「わかっていても結構こたえるもんなんだね」 先ほどは始めこそ動揺したものの、最後は余裕を持って綱吉を送り出せたと思う。 あの場面で縋るなんてことを自分ができるわけもなく、また、権利があるわけでもなく。 本当ならば全部わかっていたと伝えて謝るつもりであったのをつい誤魔化してしまったが、大体はこの時が来たらこうしようと思っていたように出来た。 そう、全ては予定の中の話で。 今更こんなに落ち込むことはないのだ。 「六年も経って変わらなかったんだから仕方ない」 よく人の機微に疎いようなことを言われるがそんなことはないと思う。 なにせ六年間彼の中に存在していた秘められた心がどんな状態にあるのかずっと理解していたのだから。 重ねて言えば。 彼に注がれるあの子の視線にだって気がついていた。 「綱吉の方がよっぽど人のことをわかっていない」 まあ、彼の場合自分自身に関してだけかもしれないが。 他人のことに関する機微になら物凄く敏感なのに。 なぜ、自分のことにだけはあんなにも鈍感になれるのか。 だからこそ六年ももったともいえるが。 「結局ここに辿り着くなら早い方が良かった気がしなくもないけど」 知らず漏れるまたまた重い溜息。 最初はこんなことどうにでも出来ると思っていた。 数年経って変わらない状況に焦りを覚えた。 ここ一年ほどはその時が来た時のシミュレートばかりしていて。 年々情けなくなってくる自分を感じさせられたのには本当に落ち込んだ。 誰かを本当に想うということを理解すればするほどそれを失うことに対する耐性というものは衰えていくんだなと思い知らされる。 覚悟をしているなんて格好つけたことを言ってはいたが、結局はその時に如何に傷つかないでいられるようにするかの心の準備をしていただけに過ぎないのが見つめたくない現実。 「僕も弱くなったもんだ」 苦笑しか浮かばない。 「うん、ホント、辛いかも」 辛いと感じてしまうのが辛い。 辛いと告げたくなってしまうのが不味い。 「ああ、どうしよう」 悩みながら就寝の準備を終え、ぐずぐずとしながら布団に潜り込んでいた雲雀は掛布団の縁をぎゅっと握り締める。 綱吉はもう絶対に戻ってこない。 あの子の視線の意味を理解している雲雀にはそれが確信できた。 弱くなったついでに丸くもなったのか彼が幸せになれるであろうことは喜ばしいと思えた。 だから、彼が上手くいったことを伝えに来たのならば笑顔でおめでとうと言ってあげられる自信がある。 それがそれほど彼を愛しいと思っている結果なのか、実は思っていたほどではないからなのかはよくわからないが。 「後者と言われても否定はできないな」 なにせ、彼の秘めた心をよく理解できたのは。 自分だってそうだったからで。 誓って言うが、それがあるから綱吉を簡単に手放したということはない。 そもそもこの想いは表面に一ミリだって出した覚えはないし、こんなことがなければ一生誰の目にも触れることがなかったほどのものだ。 それほどまでに自分は綱吉の方を選んでいたし、だからこそこんなに辛いわけであって。 実際に今この状況にあってそれを表に出してこようなんて思っていない。 思っていないはずなのに。 「……本当に、どうしよう」 たった一人。 辛いと告げたい人が居る。 でも、それはしてはならないこと。 だって、あの人は……。 |